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【エッセイ】住宅政策を整理してみた

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ユーザーが住宅の購入を検討する時、手にする住宅パンフレットや雑誌には、住宅の基準や政策に関する様々な言葉が出てきます。主なものには、住宅性能表示制度、長期優良住宅、省エネ住宅、ゼロ・エネルギー住宅(ZEH)などがあり、住宅業界に身をおいている人でも漠然とは理解していても、これらがどのように関わり合っているかを明快に説明出来る人は少ないのではないでしょうか。これらに住宅瑕疵担保履行法や住生活基本法などが加わると、まるで訳が分からなくなります。これらを一度整理してみましょう。

【住宅性能表示制度】
平成12年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、 同年10月に運用開始された制度で、その名の通り住宅の性能に関するものです。

性能区分には、1)構造の安定、2)劣化の軽減、3)温熱環境・エネルギー消費量、4)維持管理更新への配慮、5)火災時の安全、6)空気環境、7)光・視環境、8)音環境、9)高齢者等への配慮、10)防犯の10区分となっており、新築住宅でこの制度を利用する場合は、1)〜4)までが必須となっています。ただし、この制度を利用するか否かは任意となります。

【住宅瑕疵担保履行法と保険】
平成19年に公布された「住宅瑕疵担保履行法」によって平成20年4月1日に保険法人の指定や紛争処理体制の整備され、さらには平成21年10月1日に新築住宅の売主等に対しての瑕疵担保責任を履行するための資力確保が義務付けられました。これにより、以降は全ての新築住宅が住宅瑕疵担保保険の対象となりました。

この法律以前には、先に挙げた住宅性能表示制度を利用・登録した新築住宅を対象とした住宅性能保証制度と言う瑕疵保証が設けられていましたが、住宅瑕疵担保履行法が整備されたことから平成20年6月30日付で新規の住宅性能保証制度への申請受付を終了しています。

注意しなければならない点は、住宅瑕疵担保履行法では、住宅性能表示制度の利用の有無や評価ランクを問わず、構造耐力上主要な部分および雨水の浸入の防止に関する部分を保証対象とし、期間を10年間としていることです。

【長期優良住宅】
これは、平成21年6月4日に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」によるもので、長期にわたり良好な状態で使用するための措置として、構造躯体等の劣化対策、耐震性、可変性、維持管理・更新の容易性、高齢者等対策、省エネルギー対策、一定以上の住宅規模、及び良好な景観の形成への配慮等が定められています。 

これらの中で先の住宅性能表示制度と関連するものには、劣化対策:等級3相当、耐震性(倒壊防止等):等級2以上、維持管理・更新の容易性:等級3相当(維持管理対策、専用配管)、省エネルギー対策:断熱等性能等級4、があります。ただし、住宅性能表示制度とは直接的な関係はありません。なお、増改築やリフォームに係る基準も新たに設けられています。

【省エネ住宅】
現在の省エネ基準は、平成25年に改正されたものが基本になっており、従来の屋根や外壁・窓等の外皮断熱性能基準に加えて、暖冷房、換気、給湯、照明などの1次エネルギー消費基準も対象となっています。また、平成27年4月以降の新築戸建で長期優良住宅やフラット35などの利用に際しての条件とされており、2020年までには全ての新築住宅に義務化される予定です。なお、省エネルギー住宅の基準は、外皮性能と1次エネルギーの消費で評価され、基準値は全国の気候条件によって8区分されています。

【ゼロ・エネルギー住宅(ZEH)】
ZEHは、先の省エネ住宅を基本として、快適な室内環境を保ちながら住宅の高断熱化と高効率設備により省エネルギーに努めると共に、太陽光発電等によりエネルギーを創出することで、1年間に消費する住宅のエネルギー量が正味(ネット)で概ねゼロ以下となる住宅のことです。

ロードマップによれば2020年までに標準的な新築住宅で実現するとされています。なお、ここで言う標準的な新築住宅とは、ハウスメーカーや工務店が造る新築住宅の過半を占めるものとされています。

【住生活基本法】
これは、国民の住生活の安定の確保および向上の促進に関する基本的な計画として平成18年に策定されたもので、新たに計画期間を平成28年度〜平成37年度の10年間とし、少子高齢化や人口減少に対する新たな住宅政策として、子育て世代や高齢者の住生活、既存住宅などの住宅ストックの活用、リフォームなどの住生活産業の活性化を目的としています。先に挙げた住宅瑕疵担保履行法〜ゼロ・エネルギー住宅は、この基本法の沿ったものと言えるでしょうま。

【まとめ】
こうして見てみると、住宅の性能を表すシステムとして住宅性能表示制度があり、ユーザー保護として住宅の最低限の基本性能である構造の安全性や雨漏りに対する瑕疵を住宅瑕疵担保履行法で保全していると言えます。

これらを基本として、長期優良住宅、省エネ住宅、ゼロ・エネルギー住宅の順で、より上位の目標が設定されています。そして、これらが住生活基本法の中に組み込まれ、優良な住宅ストックへの転換を加速することとされています。

質問 Jan 20 公開 提案 事務局 (7,800 ポイント)

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