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【コラム】建物の色 悲喜こもごも 現代と古代の色概念について

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 古代から中国地方では特有の色が尊ばれる習慣があり、その色とは黄・青・赤・白・黒の5色で古代風の呼び名としてそれぞれ黄・蒼・朱・白・玄という。各色に古代の人々は意味あいを見出した。

 その中でも黄色は、中国を統治した最初の王である黄帝の名にもあるように、皇帝の色であり権威の象徴でもあったようだ。方角でいえば方位の中央を指し、四季を土用とすると陰陽道でいう中間の象徴として、尊ばれる色である。

 古くは五行思想が多いに影響されているかと思われるが、他の四色の色別概念も五行思想や中国伝来の神話に基づいたものが絡んでおり、その神話とは「古代、我々の住む世界が絶滅に瀕したとき女媧(古代中国神話上の人物。蛇身人首の姿をしており土と縄で人類創造したとされる)が五色の石を用いて天を修復され亀の足を四極に換えた」とある。この五色の色は上述したとおりであるが、この「亀の足」をして4極は方角と四神を表し、それぞれ 朱鳥 玄武 蒼竜 白虎 の組み合わせで東西南北と関連している。

 東の宮には蒼竜、西宮には白虎、南宮には朱鳥、北宮には玄武という組み合わせから東は青、西は白、南は赤、北は黒という方角と色の概念が形成されてきた一因である。

 これは中国大陸の国柄や環境に大きく影響され定着していったようで、広大な中国大陸に方角と自然観を関連させていったことで、道理は常識の範囲でも察しがつくかと思う。

 それでは中央の黄色は四季の真ん中、方位の中心とする考え方は大陸の気象条件によるところが大きい。澄み渡った天界に突如として吹き荒れる黄砂。穏健な自然の大地は一両日待たずに天界の異変が訪れると猛烈な黄塵埃が、大気を覆い瞬く間に世界を黄色に染め上げる。古代の人々はこの黄砂を偉大なもの、恐れるべき威力、天界の怒りに触れたときに起こる事象として捉えられたようで、世界を司るものに黄色を与えた。

 東には地球規模で考えればアジア圏を指し、東洋や極東地域を指し総称して東方といわれている。中東はオリエンタル文化の栄えた土地であるが、その意味は日の出る場所との意味がある。その東は蒼竜つまり青をあてがわれ青は平和の象徴と考えられている。穏健であり、大地の緑を育み古代の人々は、平和と繁栄の象徴としてあがめられたようだ。

 南には温暖地域を表す言葉として古くから用いられてきた。富を持ち幸福を司るその色は朱つまり赤である。南空には天空を渡る太陽、夕方を彩る夕陽は特に天を紅色に染め一日の終わりを告げる。そんな色に古代の人々は幸福感や幸多き人生を夢見たことだろう。

 西や北の色はそれぞれ白、黒であり白は悲しみ・悲哀・死を表し、黒は漆黒・闇・滅亡・破壊の象徴とされていたため、一般的には忌避されてきた色である。

 中国建築にこのような色彩が用いられるようになったのは、春秋戦国時代(紀元前200年~)からのようでその後の戦国時代を終え、秦~漢代の頃には屋根や壁・柱に至るまで色がないのは建築ではない。との認識にまで昇華したようだ。この世界を司る天子の宮には、黄色で色彩された瓦を敷き並べ赤と青で吉兆を表し円柱や天井裏、梁や見え掛りに至るまで彩色されていたという。

 奇抜な色合いの家は現代ではほとんど敬遠されているし、派手な色合いでも外壁色のみであることが多いかと思われる。

住宅を建築するにあたり、差し色で黄色を使ったり赤や青を使ったりすることで、その家に幸運を呼ぶ一助とすることができるかもしれない。

 色の意味合いを十分に説明し採用していただくのも建築家冥利につきるのではないだろうか。

質問 Nov 3, 2016 公開 提案 事務局 (7,800 ポイント)

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