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【エッセイ】ZEHは予想外に早く広まるかもしれない

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 最近の住宅コマーシャルでは、ネット・ゼロ・エネルギー住宅(ZEH)が主役になっています。これは国の住宅政策を反映したものでしょう。この各ハウスメーカーや大手建材メーカーが、率先してゼロ・エネルギーと言う言葉を全面に打ち出すイメージ戦略は、予想以上にZEHの普及を早める気がしてきました。

 ZEHの大きな要素に、断熱性能と冷暖房器や給湯器などの熱エネルギーの消費性能があります。断熱性能では、サッシメーカーが防火地域にも対応できる断熱サッシの開発を進め、熱エネルギー関連では発電・蓄電機能を備えた機器を開発し、業界紙では毎日のように報道されています。住宅業界は久々に大きなキーワードを手に入れ、企画力と技術力が試される時です。

 住宅を新築や購入する世代は30代が最も多く50%を超えます。この世代は、省エネやコストパフォーマンスを具体的に実感しており、ZEH普及の大きな牽引役となるのでしょう。ZEH政策や長期優良住宅などを盛り込んだ住生活基本法が発表された当初、そのコスト高や住宅着工戸数の低下などから、計画通りにはいかないのではと疑問視していたが、以外とスムーズに普及していくかもしれません。感覚的には、ハイブリッド車や電気自動車の普及に似ているのではないだろうか。現在の車の主流は、ハイブリッド車や電気自動車のイメージを持つが、実際の販売台数比は20%台で保有台数比では10%未満です。革新的な技術は最初の認知には手間取るが、ある一線を超えると飛躍的に普及していく傾向があり、先の販売台数比の20%と言う数字は、この一線上にあるように感じます。同様に、ZEHも数年間は認知に手間取るかもしれないが、熱エネルギーのランニングコストがほとんど掛からない、と言うのは車の省エネとは比べ物にならないほどのインパクトがあります。

 最近、あるハウスメーカーがZEHキャンペーンを行ったところ、受注棟数のうち50%以上を占めたといいます。このようにハウスメーカーが先進性を打ち出して実績を上げてくると、地域のビルダーなども着手し始め、普及は加速していきます。しかし、小規模の工務店などでは、消費エネルギー計算やSII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ Sustainable open Innovation Initiative)へのZEHビルダー登録などの問題から、取り残される恐れがあります。一方、ユーザーは今後の新築住宅でZEH対応にするか否かの選択を迫られますが、補助金を考慮した初期投資額と回収年数のバランスが判断材料になります。ただし、環境保護や省エネに対する意識の影響も大きく、こちらのベクトルの強さも普及に大きく影響してくるでしょう。

 ZEHを対象にした補助金には、ZEHそのものを対象としたもの、設備機器を対象にしたものがあり、賢い対応が必要となり、もはや設計担当者だけでは対応できるものではなく、各専門部門との連携がますます必要となります。複雑・煩雑になる事務手続きや複雑な熱エネルギー計算などは、それぞれを担う専門業者が現れ、次第にシステム化されていくのでしょう。そして、小規模の工務店などはそのシステムに組み込まれていくと推測しています。

 ZEHのロードマップでは、2020年までに標準的な新築戸建住宅をZEHとするとあります。そして、標準的な住宅とは、ハウスメーカーやビルダーなどが建てる全ての新築戸建住宅の過半数を占めるもの、としています。つまり、近年の住宅着工戸数に例えるなら、注文住宅の約30万戸と建売住宅の約12万戸の合計約42万戸の50%以上がZEHとなっている必要があることになります。これは、簡単ではないにしても、意外に達成可能な目標ではないだろうか。先に述べたように、業界が前面に打ち出すZEHのイメージ戦略は認知に時間がかかっても、ひとたび知れ渡った時には当たり前のように選択されるていくのではないかと感じさせます。

質問 Oct 3, 2016 公開 提案 事務局 (13,170 ポイント)

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