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【コラム】バイオエネルギーを普及させるためにできること

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 化石燃料の枯渇が叫ばれて幾年過ぎているが有限の資源であることには変わりがない。米国ではシェールオイル革命が起き世界でも一番の産油国となったが、需要と供給のバランスにより非常に不安定な価格の乱高下を繰り返す。近未来も化石燃料を軸とした建物を建てていくのはなんとも心もとない。そんな中で注目されているのが自然エネルギーやバイオエネルギーである。自然エネルギーは、太陽光や風力、地熱、潮力などの自然エネルギーを変換して利用している。ガスや電気のエネルギーを効率的に利用するヒートポンプなども省エネとして有効な手段であるがバイオエネルギーはまだまだ実用段階にいたってはいない。しかし、近い未来主要なエネルギーとして利用されることと思う。例えばユーグレナ社で開発しているミドリムシからジェット燃料を生産したり、生活副産物(家庭ゴミなど)を利用した燃料など。

 

 

そんなバイオエネルギーについて考察しよう。

 バイオとはそもそもどういった意味なのであろうか。バイオとは生命・生物を表す。バイオエネルギーとはその動植物(有機物)のエネルギーを利用したものであり、バイオテクノロジー、バイオマスのように生物学から派生したエネルギー研究が行われている。有機物資源で化石燃料を除いたものをバイオマスといい、眼に見えない微生物から大樹まで全てバイオマスの一部に数えられる。(石油、石炭等の化石燃料は定義上含まれない。なぜなら化石燃料は長大な時間を費やし再生されるエネルギーであるから)

 そのバイオマスを利用したエネルギー資源をバイオエネルギーといい、上述した家庭ごみや産廃焼却施設の熱源を利用した発電や、砂糖原料を搾り出したサトウキビを発酵させてエタノールを精製した燃料など、はてはキャンプで焚き火をするのもバイオエネルギーである。全世界規模で考えるとバイオエネルギーは身近なエネルギーであり途上国では木材を利用した焚き火などで調理や入浴などをしている。更に寒冷地域では居室内を温めるために利用されている。一方欧米諸国の多くはバイオ燃料の使用量が他国に比べ多い。バイオ燃料とはバイオマスを用いた燃料であり現在試験段階から実用化に向けて検討されているものに、先に書いたバイオエタノールやバイオディーゼル、バイオガス、バイオジェット燃料などがある。バイオエタノールはサトウキビや甜菜を利用したものや、芋などのでんぷん質を利用したものなどがある。いずれも酵母を用いてアルコールを作成する(酒などのアルコールを作成する工程と同様)要領で発酵させ精製することでエネルギー源となる。バイオエタノールは主に既存のエネルギーであるガソリンなどに添加されて利用されている。添加量分は確実にガソリン消費量を抑えられることで、省エネに貢献しているとのデータがある。添加量はE5、E10などのようにEの次ぎに数字で表し、数字は添加量をパーセントで表していて主に欧州で盛んに利用されている。 

 

変わってバイオディーゼルとはどのようなものだろうか。

 バイオディーゼルは油脂類を主な主原料としており、オリーブオイルや菜種油など植物に由来した油成分や動物の脂(魚類油や豚・牛などの獣脂)などの油脂を原料としている。身近な事例ではスーパーなどで植物油の廃油を収集し再利用している車両などを見たことがあるかたも多いと思う。このように油脂からグリセリン(動物由来の油脂から精製する場合はグリセンリン内に非常に多くの不純物が含まれる)を取り除き粘性を抑えた原料とすることで実用性のある燃料として利用することが出来る。精製方法もバイオエタノールに比べシンプルな設備で精製することが出来る為、今後ますます期待されている技術です。

 変わってバイオガスはどのように生産されるのでしょうか。液体であるバイオエタノールやディーゼル燃料とは違い気体で生産されるのが大きな特徴であり、家畜の糞や肥料、汚泥など有機物質が微生物によりメタンなどの燃料を発酵させて生産されるものをいう。バイオガスは実用化に向け乗用車などの燃料としてすでに一部で活用されている。プロパンガスと使用する上での差はそれほどないことも流通する鍵となるのであろう。

 最後にバイオジェット燃料だが、このエネルギーについては建築物で使用することは困難と思われる為簡単に説明することにする。冒頭でも紹介したがミドリムシが有機藻を取り込み原料を生産したり油脂を利用したものもある。大量に生産することは困難であるが将来的には生産効率も上がり主要原料となる可能性を秘めた次世代燃料である。

 

各国の動き

 このように急速に拡大しているバイオ燃料業界であるが拡大した大きな要因は各国の政策にあり脱石油を掲げ国単位でバイオエネルギー研究にベクトルが向いていることが大きな要因であろう。まだまだ建築に貢献できるような新たなエネルギー改革となっていない。欧米諸国に比べ政策は同時期に進めていたように思うが、現状では生産する為のエネルギー源(有機原料や産廃物)の絶対量が少ないこともあり(日本国内での資源量は欧米諸国に比べ少ない)日本のバイオ燃料事業は国の思惑通りには進んでいないのが現状のようだ。世界のバイオエタノール生産量はバイオ燃料で走行できる自家用車の開発・販売を促進している米国、ブラジルの両国では70%を占める生産量となり、欧州や中国などでも生産量は飛躍的に伸びている。

 

バイオ燃料の問題点とは

 このようにいいことづくめのバイオ燃料ではあるが、さまざまな問題を今後解決していかなければ次世代エネルギーとして真に利用されることは無いと思われる。一つにコスト問題があり、バイオエタノールやディーゼル燃料を生産する為に生産量以上の化石燃料を利用している場合が多く設備投資やランニングコストを勘案すると意味のなさないものとなってしまう。生産効率がよく尚且つ低コストで製品を精製できるようになる技術開発が求められている。

 二つめの問題は本来食料として生産される穀物類や糖質類の植物が食料ではなく燃料の原料として生産される為、ただでさえ世界的にも慢性的な食糧不足に悩んでいる国や地域が非常に多いことがあげられる。この為安易に甜菜やサトウキビを原料とせずに微生物や食用に向かないものを選定する方法がある。廃油を原料としたバイオディーゼルや家庭ごみや家畜の糞などの有機物を利用したバイオガスを利用可能とする為には徹底的な廃棄物のリサイクルや再利用を前提としたものづくりを目指していかなければならない。建築物の設備も次世代を勘案したものづくりを進めることにより新たなビジネスモデルを構築することが可能だ。

 

バイオ燃料を普及させる為には

 このようにバイオ燃料の普及にはまだまだ解決しなければならない問題が山積されているが、次世代のエネルギーとして使用されていくものである。建設分野においては一般住宅よりも工場などの2次産業や農林漁業の1次産業で普及していくはずで、畜産業などでは畜産の糞を利用したメタンガス抽出をすでに行っている事業所もある。技術開発の進歩により安価なシステム作りとバイオ燃料自体の認知度があがれば普及するスピードがかなりあがる。世間での認知度が上がる前に技術を確保した企業は競合他社との差別化をアピールすることで省エネに敏感な顧客へのアピールになるのではないだろうか。

質問 Sep 24, 2016 公開 提案 事務局 (7,800 ポイント)
編集 Sep 29, 2016 事務局

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