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【コラム】建設業の人手不足は深刻な問題

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昨今の建設業の人手不足は深刻な問題であり平成の失われた20年を経て東日本大震災の復興と東京オリンピック2020年開催にむけて大型物件の計画や着工が相次いでいる。さらに公共工事の投資拡大を背景とした建設業人手不足は顕著であり2012年から比べると年々投資額は増加している。

工事量・投資額が増加していることとは打って変って建設業従事者数は約500万人程度であり数字からみても明らかだ。さまざまな要因が考えられるが不況時の新卒者採用率の低下や、過度の労働による離職率上昇により、特に若年者層の建設業離れが加速しており工事従事者の高齢化に偏向している。団塊世代の大量離職もあり今後ますます高齢化へシフトすると懸念されており、20年前に比べると若年層の働き手は実に100万人以上減少している。

一方、建設需要は上昇傾向にあり、上述したが震災復興事業、オリンピック関連の投資が活発であるため、2020年以降も増加にシフトしていくことだろう。

それでは建設業従事者の減少はどの程度進捗していくのだろうか。過去からの減少係数が変動しなければ2020年には約350万人程度となり現在よりも100万人は減少する見込みである。このような事態を根底から支えるためには労働生産性上昇がひとつの鍵となるはずで生産性向上から建設業への就業増加の可能性があり年度比で堅調に推移することにより労働力の確保は可能となる。

今後生産性向上により以下の課題があり就業者の賃金上昇と工事量の一極集中による人手不足(全体の就業者数をクリアしている場合でも起こりやすい事案)を解消していくことが重要である。

就業者の賃金上昇は業界の悪癖から工事量が上昇した2013年度でさえも賃金の上昇は見られなかったが、今後民間投資の回復次第で大幅な賃金上昇が必要になることがわかる。建設工事は継続した事業ではないため、物件ごとの受注生産であることから生産効率化の限界はあるので建設業が幅をきかせていた時代を上回ることは難しいが、遠くない将来に向けて優秀な職方を手中に集め過度な賃金上昇を抑えることも重要かと思われる。業種によっては倍近く賃金が上がることも予想されており、早期に対応策を講じることが重要だ。公共工事の設計労務単価は市場に合わせて能動的に見直すこととなっているため、現場従事者の賃金を勘案する材料となる。政府も予算どりから発注までの期間を短縮するなど市場流通が円滑になる政策をとり賃金の底上げを後押ししているようだ。

建設業の人手不足の解消法としては就労人口の減少は防ぎようが無いので男性中心である建設業の考え方自体を改め女性労働力の確保を進めることも一助となる。

昨今土木工事に従事する女性を指して「建設小町」などと呼ばれており日本建設業連合会は現場監督や現場従事者によるニーズを掘り起こす活動を行なっている。政府を中心に女性が活躍できる建設業行動計画の策定で現状から20万人増加を目標としている。

女性が働きやすい現場環境を構築することも重要で専用の化粧室や更衣室・休憩室の充実や乳児・幼児を育てる世代でも安心して働ける環境づくり(時間短縮労働や保育の援助など)が必要である。長らく男性中心の職場であった建設現場ではあるが近い将来、女性の進出なくしては立ち行かなくなってしまうことであろう。

また、首都圏ではもはや珍しくは無いが外国人労働者の存在である。東南アジア圏より建設技術の習得を目指し多くの外国人が来日している。

このような状況から、賃金の上昇と建設労働力の確保を企業戦略の一環に据えていくことがますます必要になっていくことと思われる。

質問 Aug 27, 2016 公開 提案 事務局 (7,800 ポイント)

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