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【エッセイ】唯一無二の住宅坪単価

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一般的にハウスメーカーでは、住宅の坪単価は公表していません。これを誠意が無いとみるかトラブル防止とみるか様々でしょうが、それなりに理由があることです。ネットなどで参考坪単価を載せているサイトもありますが、多くは参考とするにはその幅が大きすぎるものになっています。

ハウスメーカーのプランを限定したものや、戸建分譲では住宅本体の坪単価を表示してものもあります。これは、プランが確定していることで原価が確定し、販売価格が決まるからです。しかし、唯一無二の土地形状に建てる住宅では、坪単価も唯一無二のものになり、同じ外観・延床面積でも間取りが変われば坪単価が変わります。例えば、2m×2mの正方形の縦に1/2の分割線を入れ、左右を上下に1mずらした形を考えてみます。面積的には、ずらす前もずらした後も4m2で変わりませんが、外周長はそれぞれに8mと10mになり、25%増えます。これを外壁に置き換えれば外壁面積も25%増となります。これと同様のことが屋根形状や勾配などにもあり、これが坪単価を表示できない一つの理由です。さらには、延床面積に算入されない吹き抜け、そしてポーチやテラスなどがあります。当然ながら、これらにも施工費用が発生しており、単純に延床面積で坪単価計算した時には割高感が出ます。これを避けるために、施工延床面積を表示しているメーカーもありますが、標準化されている訳ではありません。

以上の建物本体のほかに、敷地に関する問題もあります。唯一無二の土地にはそれぞれに条件が異なり、地耐力差による基礎形状、屋外給排水、屋外電気幹線、などに対する費用も異なります。さすがに、これらを含めて坪単価表示することはないと思いますが、誤解を招く要因でもあります。また、坪単価で誤解を招く要素に、工法による価格差もあります。住宅工法による坪単価比較では一般的に、木造軸組<2×4<鉄骨造<RC造、となるでしょう。しかし、最ローコスト比較でない限り、現実にはメーカーやブランドによる価格差が、工法による価格差を上回っています。つまり、この差は品質や仕様の差で、これらを考慮していない単純な坪単価比較は無意味です。

住宅の価格でトラブルになるのは、工事見積額がユーザーの想定額より大幅に上回ったときです。では何故、大幅に上回るのか、あるいは予測ができなかったのでしょうか。結論から言えば、ユーザーの認識不足もありますが、多くは販売担当者の説明不足と事前のヒアリングや調査不足です。事前に、敷地情報やユーザーの希望する内容、さらには予算を理解していれば、助言を交えながらも理解を得やすい見積額の提示に繋がったはずです。これは、戸建分譲住宅を販売する場合も同じで、付帯工事の内容を明確にし、十分な説明を行うことがトラブル防止に繋がるはずです。

時に、メディアは坪単価の内容に触れることなく、あたかもデタラメな坪単価であるような、ほとんど印象操作に近いタイトル表示をします。一方で、不誠実な担当者が起こした不法行為や不正な施工が、業界に悪影響を与えているのも事実で、メディアに隙を与えている原因となっています。真面目に住宅を提供している企業にとっては本当に迷惑な話です。

唯一無二の坪単価の正当性を証明する方法に、見積書があります。ユーザーの不安や不信を払拭させるためには、この見積書をどれだけ理解してもらえるか、と言う当たり前の結論になります。しかし、最後の契約段階で見積額の説明を行っても、あまり意味がありません。それは、確認にすぎないからです。できれば、ユーザーからのヒアリングが終わった段階で、適切な助言と提案することが信頼を勝ち取る、これも唯一無二の方法だと感じています。

質問 Aug 4, 2016 公開 提案 事務局 (7,800 ポイント)

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