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【コラム】ゼロエネルギー住宅と住宅性能を高めるためには

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世界のCO2排出量の削減に向け日本政府は建設事業に対してゼロエネルギー住宅推進事業を行っている。
年々その特別予算も大幅に増加し、補助金に充てられている。
今後の目標として一般住宅をゼロエネルギー住宅がスタンダードな形とするため現在も様々な条例などが発効されている。

それでは、「ゼロエネルギー」住宅とはどのようなものを指すのだろうか。
住宅のエネルギー消費量を省エネによってエネルギー量を減少させる、又は消費エネルギーと同等以上のエネルギーを作り出し相殺することとされている。
政府の所轄は経済産業省でその定義を端的に示すと上記のような内容となる。

一次エネルギーとはどのようなものなのか。
再生可能エネルギーとは何か。
今後の住宅建築を行っていくうえで付加価値を付け顧客獲得への一助となるよう解説する。

 

そもそも一次エネルギーとはどのようなものなのだろうか

一次エネルギーとは自然界に由来するエネルギーであって太陽光、水力、地熱、風力、潮力、原油・石炭、核燃料などを言う。
これら一次エネルギーを消費できる形にしたものを二次エネルギーと呼ぶ。
太陽光であれば熱変換モジュールを使用した太陽光発電や太陽発熱、水力であれば水力発電システム、地熱であれば削孔した穴を利用した対流発電や地熱変換システム、風力であれば風力発電システム、原油・石炭は精製したあとに様々な製品に加工されるし、核燃料は原子力発電の根幹を担うエネルギー源として利用している。
消費エネルギーの換算を行う際には二次エネルギーを一次エネルギーに関して計算する。
これにより、消費エネルギーと再生可能エネルギーの比較することが出来る。

住居の消費エネルギーを抑えるには換気システムであれば熱交換システム、断熱性能の向上(壁内の断熱向上・開口部サッシ自体または複層ガラスの使用)、採光の執りかた(当然だが日光を、夏季は遮蔽・冬季は導入)など熱効率の高い設備を構築することであり、オンサイト(同一敷地内以外のエネルギーではなく、単一の敷地内で創り出すエネルギーを利用しゼロエネルギーを目指すこと)での住宅構築が最終目標となるかと思う。

政府はこのようなゼロエネルギー住宅の普及に努める一環として助成金を設けており、国土交通省のネットゼロエネルギーハウス支援事業を行っている。
この支援事業とは2030年までに住居のネットゼロエネルギー化を目指していて、これらのシステムを導入する住宅の建築主を対象に補助金を支給している。
この補助制度の対象と成る枠は関連するシステムの工事費の内50%以内かつ350万円が上限とされており、補助金を受給するには定められた用件を満たす必要ある。
ただしシステムの中ではエネルギー計測装置と太陽光発電システムはこの補助金制度からは外されている。
この二つについては個別の補助金制度が設けられており重複することを避けているからだ。(逆説的に考えれば個別に太陽光発電などの補助金を受けることが出来る)
これら複数の補助金を受けることが出来るのであれば、建築主の負担軽減により予算内で構築できるシステムも増加して結果的に請負額も増加しWINWINの関係を築くことが出来る。

建築主にとっては費用対効果として元本以上の利益が取得できるかどうかが一番関心のある事項であり、営業段階からメリットを十分説明する必要がある。
通常の住宅とゼロエネルギー設備の光熱費比較を示しながら建築主の不安を払拭する必要があるが国土交通省では参考資料を公表しているので参考にされたい。
年間ランニングコスト比較表などが公表されているのでこれを基に提案する住宅プランを説明することで解決できるかと思う。

 

住宅性能を高めるためには

ゼロエネルギー住宅は建物の冷暖房負荷を向上させ、自然光や通風、地熱、太陽光などを上手に取り入れることにより省エネを実現することが求められている。
しかし、居住している限りは住居の熱エネルギーは消費される為完全なゼロエネルギーを実現することは出来ない。
従ってここでいうゼロエネルギー住宅とは、使用したエネルギーと同等またはそれ以上のエネルギーを住戸及び同一敷地内で創出し使用量と創出量を差し引きゼロとなる住宅のことを指す。

 


ゼロエネルギー住宅と発電システムの今後

ひとくちに発電システムといっても太陽光発電のように一次エネルギーを直接変換するものから、電気・ガス等を使用する二次エネルギー変更を行うものなど様々な設備システムがある。
ゼロエネルギーシステムで使用されるもので代表的なものを幾つか説明する。

 

「太陽光発電システム」

現在創出エネルギーシステムとして最も普及しているものであり、歴史も古く1960年代にはかなり高価であったが電気の引けない場所において実用化された。
1970年代に入るとオイルショックの影響から国家レベルで次世代エネルギーの普及を模索しはじめ1980年代には一般的に普及していった。
太陽光を熱に変換するモジュールの開発はまさに日進月歩であり、数年前の製品でハイスペックなものと現在の普及品とは変わり映えがしない、または普及品のほうが性能が良いほどである。
モジュールも単一型が開発されたことにより従来ではモジュール版の一部が日陰になると発電しないものが大半であったが現在では一部が日に当たると発電するモジュールシステムとなっている。
特に日本で開発されている太陽光システムは世界に認められ世界で生産されている太陽光モジュールは2000年代前半まではドイツメーカーが世界一であったが今日では日本企業の努力もあり世界一となっている。
一般的な住居に設置する場合は200万程度のイニシャルが掛かるが近年の企業の努力もあり、イニシャルに見合った売電も可能となってきており、今後ますます注目される設備システムである。
売電期間は10年とされているのでリフォームなどの場合も営業する上で話しやすいメリットの一つだと思われる。


「風力発電システム」

戸建てでの風力発電はイニシャルコストに見合ったランニングコストを確保することは難しい。
風力が安定している地域であればそれも何とかなるかもしれないが大半は実用的では無いと思われる。
ただ、太陽光発電とは違い、日中のほか夜間の発電も行える為他のシステムとの複合発電を目指すことが大半である。
このシステム単独で営業することは避けたほうが良い。
エコに敏感な顧客であれば設置することがステータスになる場合もあるので顧客に説明できる程度の知識は持つように心掛けうよう。
大小さまざまなタイプがあり、イニシャルは30万~200万程度となる。


「地熱利用」

地下水は年間を通して安定した温度を保っている為床下にパイピングして流水することにより温度確保が可能となる。
夏季は涼しく、冬季は暖かい。但しコストでいえば住居で使用するような金額ではなく次世代のエネルギーといえよう。
単独でボーリングなどした場合は1500万程度掛かりその他に設備機器が必要で現状ではコストメリットは無い。


「燃料電池」

電池モジュール内に水素を格納し空気中の酸素と反応させ熱エネルギーを抽出するシステムである。
海外製品が長らく席巻していたが最近は日本製のものも選択されてきている。
エネルギー効率が非常に優れておりイニシャルコストが下がれば今後の省エネ住宅の主軸となるかと思う。
現状ではイニシャルは200万程度で燃料電池自体の寿命も短く(7年~15年)コストに見合ったものとは成っていない。


これらのエコエネルギーを利用することにより省エネ住宅を顧客にアピールすることで新たな支持層獲得の足掛かりとなることを期待している。

質問 Jul 23, 2016 公開 提案 事務局 (7,800 ポイント)
編集 Aug 4, 2016 事務局

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