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【コラム】和風住宅を民泊でアピールし収益を上げる物件にするには

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近年メディアによく取り上げられている民泊。

外国観光客が日本中に訪れるようになり東京・京都・沖縄をはじめとする観光地以外にも大挙して押し寄せるようになってきた。
観光地の宿泊するホテルや旅館は常時飽和状態で需要と供給のバランスが取れず慢性的な宿泊先不足となっている。

そんな中ようやく政府も重い腰を上げ民泊の合法化へと動き出した。
営業日などに制約があるものの(現在は180日を目処として議論されている)新たなビジネスチャンスの一つである。

外国人観光客が日本の民泊に求めるものはどのようなものなのか。
そのポイントを抑えることでより多くの顧客を呼び込めるのではないだろうか。

その中の一つに日本を想起させるもの。和風日本家屋にスポットを充てて見たい。

 

日本家屋の特徴


屋根瓦

瓦は中国で発明され4世紀に朝鮮半島より伝来したと伝えられている。
古来は寺院のみに使用されていたようだが、中世にはすでに寺院以外の公共建築物にも使われていたことがわかっている。
大正・昭和期には和風・洋風を問わず使用されるようになったが、防火性に優れ漏水にも効果を発揮する屋根材である。
日本は他国よりも台風が非常に多く、他の屋根材よりも重量のある瓦が重宝されたようだ。
洋風住宅に使用される瓦は桟瓦と呼ばれ和風住宅に使用される本瓦と違い、丸型と平型を合わせて一枚にしたものを使用している。
日本の古民家を全面に押し出してアピールするなら本瓦を使用することが望ましい。
しかし市場に出回っているのは桟瓦のシェアが多く本瓦の入手は幾分困難かもしれない。
古い寺社・仏閣や古民家の解体等の情報を常時アンテナを張りリサイクル可能なものを入手することも大事であるし、本瓦葺きはなんといっても屋根の厚みが増し重厚感と風格が出てくるところが良い所なので、この特徴を潰さない設計計画が必要となる。棟に鎮座する鬼瓦なども効果的に魅せることで建物の魅力をみせてほしい。

 

近年、一般住宅に和室を作ることが非常に少なくなり新築住宅では見かけることが少なくなった。
畳は奈良時代には寺社仏閣で使用され権威の象徴としても用いられていたもので、300年ほど前からは一般大衆にも普及していった。
当時から優れた吸湿性・空気の清浄効果などもあり広く普及したと思われる。
近年この様々な効果見直す動きがありオーガニック建材として注目されている。外国人観光客が日本を感じるのはやはり和室ではないだろうか。
和室の主役はいろいろあるがその中のひとつ「畳」に注目してみたい。

畳は日本独特の建材であり、日本特有の気候に非常に適しているものである。
夏の高温多湿には居室内の調湿効果が、冬の寒く乾燥した空気の中では断熱効果を発揮する。
最近は上述したとおり自然建材の良さや伝統的な装飾デザイン・ホルムアルデヒドなどのVOCや有害な物質を持たない建材として見直されてきている。
異文化を感じるにはその国や地域独自の文化・風習を視覚的にアピールしたほうがインパクトがあり集客へ有利に働く。
その際に建物にまつわる説明などもあるとなお良いように思う。
平安時代の貴族の寝床などに敷かれていたことや、江戸時代には一般的になり日本人の健康の一助になっていたことなどを盛り込めば他の民泊物件との違いをアピールできるポイントとなろう。

畳の大きさなども地域により違いがあり、京間、田舎間、中京間などがある。
また近年では畳とは名ばかりの断熱畳なども流通しているがこれらは押出抽出系の断熱材にイグサを巻いたものや、表面の素材でさえもプラスチック系素材で構成されているものもある。
断熱畳であれば雰囲気を壊すようなことはないかもしれないがプラスチック素材でおもてなしではいささか趣きが損なわれるように思うのは筆者だけであろうか。

いづれにしても観光客がわざわざ旅館などに宿泊せずに民泊を選択する理由を考えてほしい。彼らは豪勢な食事や風景の良い大浴場を求めているのではなく、その土地で住んでいる様な疑似体験を求めている。

せめて異国情緒溢れる民泊を提供することが出来ればWinWinの関係を構築していくことが出来るのではないだろうか。

 

障子と襖で純和風住宅を演出する

 

障子

外国人観光客が近年ますます増加の一歩をたどり、その勢いは2020年東京オリンピック・パラリンピックまで進捗すると見られている。
そんな彼ら・彼女らの宿泊施設は現在すでに需要過多供給不足のあおりを受け、首都圏や京都などではビジネスホテルの宿泊さえ困難な状況となっている。
そんな供給不足に一石を投じた民泊。不動産・建設会社はこのムーブメントを受け新たなビジネスシーンとして日々熟考しているかと思う。

顧客の口コミはこの業界では非常に重要で、レスポンス(顧客対応)や評価がつぎの顧客獲得への大きな足掛かりとなる。
今後ますます増加する競合他社を抑え、どのようにリピーターや口コミで宿泊してもらえるようにかということが命題である。
そんな魅力ある民泊スペースをどのように提供したら良いのだろうか。前回に引き続き内装・外装に重点を置いて考察する。

障子は日本の和を感じる住宅建材の一つであり、古くは平安時代から今日まで使用され続けている。
障子は空間を仕切り、和室の空間を感じさせるためには欠かせないものである。
特に日光が障子に照射されると自然光が拡散して作り出す独特の明るさとあいまって、居室にいる人々に居心地の良い空間を提供できることは他の建具には無い特色であろう。

構造的には非常に簡素であり、木枠、和紙とそれを張るノリから構成されている。
その機能もあいまって吸湿性・調湿の効果がる。
シンプルな外観とは違い非常に多機能で,日本の気候風土にとても適していて存外に断熱性も併せ持ちガラス障子などと併用すると暖房負荷が軽減される。

障子の歴史は古く、はるか平安時代にはすでに建具として使用されていたようで居室同士の仕切りや衝立などをまとめて障子というカテゴリにしていたようだ。
現在多く目にする障子の原型は「明り取り障子」と呼ばれ、障子を開けることなく外界の光を取り入れることが出来る画期的な発明であった。
室町時代を迎えると建具の上部を和紙、下部を木製板にした腰付きの障子が開発され時代が経過するとやがて数寄屋造りに代表されるような低腰障子が表れる。
300年前からはデザインの凝った格子模様の木枠とデザインされた和紙なども表れ様々な障子が表れてくる。
このように日本の歴史から見ても宿泊スペースに障子があることで日本を感じることが出来ると考えられる。

戦後、洋風住宅の普及に伴なって障子からカーテンに取り変わった現代においても和室を彩るものの一つとして重宝されている。
和家具と調和した室内に海外から観光に来たゲストを迎え入れることで評判を呼び、継続して営業する足掛かりの一つとなるかもしれない。

 

障子は大陸からの伝来であるが、襖は日本独自のものであるようで、寝室を仕切る目的で普及した。
襖は元々衝立に縁取りしたものが発展して建具の一つとなったようだ。
日本の歴史的な建築物の中には豪華絢爛な襖をもつ建物も多く、中でも二条城や西本願寺などが有名で金をちりばめた障壁画などがある。
対照的に仏教色も非常に強く「神聖な場所」ではそのきらびやかな装飾により空間全体の雰囲気を飾っている。
障子と同様に木枠と和紙で構成されており、その和紙には動植物や風景などが描かれているものが多い。

現代の襖には洋風の襖なども登場し、様々な色合いとデザインの襖が流通している。
しかし、日本を感じるために観光にきた外国人観光客に洋風の襖ではいささか辟易してしまうかと思う。
和室を全面に主張した部屋を用意し、和箪笥や装飾物で日本の雰囲気を味わえる空間作りが民泊を成功させる大きな要素になるのでこれから新規に事業を行うさいの参考にしてほしい。

 

 

質問 Jul 23, 2016 公開 提案 事務局 (7,800 ポイント)
編集 Aug 4, 2016 事務局

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