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【エッセイ】民泊のゆくえ

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民泊と言う聞き慣れない言葉がメディアに現れたのは、ついこの間のような気がしていましたが、いつの間にか民泊提供者の登録が2倍、3倍と増えているようです。
Airbnbと言う民泊ウェブサイトがきっかけらしいが、同様のウェブサイトがいくつも出来ており、このグローバルな民力に法整備が追いついていない状況です。

そして気の早い人達の間は、投資用マンションや個人宅の空き部屋を民泊ビジネスに繋げようとする動きがあります。では、追いついていない法整備の現状はどのようになっているのでしょうか。

国の見解では、一時的な有償宿泊は旅館業法に抵触しないが、反復継続して有償宿泊させる場合は抵触するとのことです。
つまり、民宿と同様の扱いになります。

これを受けて、国は旅館業法の対象外として、住宅を対象とした「民泊新法」の制定を急いでいます。
完全に民力に押された感じですが、H28年6月2日に規制改革実施計画が閣議決定され、H28年度中に法案提出となるようです。

この規制改革実施計画での民泊新法の一部を紹介すると、

1.家主居住型
 ・個人の生活の本拠であること(基本的に住民票があること)
 ・宿泊提供日に住宅提供者も泊まっていること
 ・年間の提供日数が180以下の範囲で上限を設定すること

2.家主不在型
 ・個人の生活の本拠ではない、あるいは個人の本拠であっても提供日には住宅提供者が泊まっていないこと
 ・年間の提供日数が180以下の範囲で上限を設定すること
 ・提供する住宅において、「民泊施設管理者」が存在すること、

となっており、いずれの場合も提供日数の上限が180日以下で設定されることとなっています。

これは、恐らく収益を目的とした民力の意向とは反するものでしょう。
ホテルや旅館への影響を考慮したものでしょうが、最大でも年間稼働率が50%ではビジネスになりにくいと思います。

H26年の国交省資料では、東京都の宿泊施設の稼働率は、宿泊単価の高い旅館で40%、リゾートホテルで75%、シティーホテルやビジネスホテルが83%で、単価の安い宿泊施設ほど稼働率が高いことが分かります。
見方を変えれば、単価が安い宿泊施設ほど稼働率をあげなければビジネスとしては成り立たない、と見ることも出来ます。

一方、賃貸アパートの空き部屋を民泊とするビジネスでは、部屋の稼働率が上がりますから向いているでしょう。

民泊新法が施行されるまでは、反復継続の有償民泊は違法となりますが、独自に条例を定め合法化している国家戦略特区もあります。

国家戦略特区には、東京、神奈川、大阪、京都など他にもありますが、これらの全ての特区で民泊条例が定められている訳ではありません。
自治体の民泊条例では、賃貸契約およびこれに付随する契約に基づくもの、そして使用期間が7〜10日の範囲、などとなっています。
つまり、短期の賃貸契約と同じで、民泊としては運用しにくい内容です。

これも多分に現行の旅館業法に遠慮した内容と感じるのですが、民泊新法が施行されるころには、もう少し改善されるのではないかと思います。
一週間も同じ民泊を利用している人が多いとは考えられず、大半の民泊提供者は違反しているのではないかとも推測できます。一日も早く、運用しやすい改正が望まれるところでしょう。

結果の是非を別にして、民泊条例や民泊新法は民力に押された形で整備、あるいは整備されつつあります。

しかし、必ずしも民意と整合している訳ではありません。
メディアが取り上げているように、ゴミ、風紀、騒音などの問題があるからです。

民泊新法では、住宅提供者の同時宿泊や民泊施設管理者を置くことを義務付けていますが、それだけでは解決しないでしょう。
マンションの区分所有者が民泊提供者になるためには、管理組合ごとにその適用の是非や適用とした場合の具体的な運用ルールや責任の所在を管理組合規約に載せる必要もあります。

質問 Jul 5, 2016 公開 提案 事務局 (7,800 ポイント)
編集 Aug 10, 2016 事務局

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