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【エッセイ】ゼロ・エネルギー住宅への道のりに思うこと

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国は、2020年までに、標準的な新築住宅でZEHを実現するすることを目的として、ロードマップを計画しています。また、それに先立ち2013年(H25年)の省エネルギー基準を2020年までに新築住宅に義務化する予定です。

ZEH(net Zero Energy House)とは、年間の一次消費エネルギー量をプラス・マイナスゼロにする住宅をいいます。なお、一次エネルギーとは、自然界に存在する形のままで利用される化石燃料や自然エネルギーによって得られるエネルギーのことであり、住宅で使用される電力、都市ガス、石油などは一次エネルギーを加工(変換)して得られるもので二次エネルギーと呼ばれています。

二次エネルギーの消費量は、加工(変換)に要するエネルギー等を考慮して、定められた一次エネルギー消費量換算係数を使うことで、相当する一次エネルギーの消費量に換算することができます。これにより、電力消費量(kwh)とガス消費量(m3)などのように単位の異なる二次エネルギーを一次エネルギー(熱量単位)に換算することで、消費量を合算することができるようになるのです。

住宅において、冷暖房、換気、給湯、照明などで消費される一次エネルギーをゼロとするには、何らかの方法でエネルギーを創出する装置が必要となります。これの代表が太陽光発電システムで、最近では都市ガスやLPガスを使った燃料電池も普及し始めています。

2013年の省エネルギー基準では、外皮平均熱貫流率や平均日射熱取得率などの断熱性能、そして電気・ガス等の消費エネルギーを一次エネルギー消費量に換算した数値を合わせ、総合的に評価されることになっています。この評価基準値は、北海道から沖縄までを8つの地域に分けて設定されています。なお、省エネ基準では、創出エネルギーの項目は設けられていませんが、ZEHが標準化される際には追加されることとなります。

解説が長くなりましたが、本当に4年後に実現、つまり義務化や標準化は可能だろうか。断熱性能やエネルギー創出などの技術は、可能かもしれないが地域の工務店ではそのコストや設計技術などで取り残される危険があります。例え、仕様規定での運用が可能としても、慣れるまでに相当の時間が必要で、その間に差別化が進み、弱小工務店の下請化が益々進む恐れがあります。

さらに、一般ユーザーへの認知度を如何にあげるか、そしてコストアップにどれだけの賛同を得られるかかが問題となります。確かに、持続可能なエネルギー対策は必要であり、欧米の住宅の断熱性能は日本のはるか先を行っており、日本の住宅の省エネ性能の向上は必須です。しかし、2020年までの4年はあまりにも短いのではないか、何か重要なものが犠牲になりはしないか。

住宅の耐震化などを促進する目的で「品確法」が制定されたのは1999年で、広く認知されるようになったのはこの10年前後ことです。そして、耐震性能を強化する場合に要する費用は数十万円程度です。しかし、この省エネ基準やゼロ・エネルギーに要する費用は恐らく100万前後、創出エネルギー装置を含めると200〜300万になると推測しています。光熱費の削減や売電による償却ができるとは言え、初期費用にそれだけの負担を一般ユーザーが負えるのか、延床面積の減少などにしわ寄せが出てくるのではないかと不安が残ります。なお、計画中のロードマップには、ZEHに対応した住宅をブランド化しステータスとして位置づける、との文言があるが、これも甚だ傲慢な言い草である。

省エネ基準の義務化やZEHの標準化には基本的な部分に正義があり反論はできないが、より多くの情報発信と国民の理解が得られるロードマップが計画されることを願うばかりです。

質問 Jul 3, 2016 公開 提案 事務局 (7,800 ポイント)

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