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【エッセイ】石を投げたら建築士に当たる?

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団塊世代が大いに働いた高度成長期には、石を投げれば建築士に当たる、とまで言われました。今なら、さしずめIT企業の社員でしょうか。何にしても、建築を学び社会人になって最初の目標は、建築士の資格を取ることは今も同じでしょう。中には、無資格のまま経験をたっぷり積んで現場を采配している無冠の帝王のような人もいますが、学卒の多くは資格取得を目指し、周りからもハッパをかけられて頑張るのです。

資格を取得したからと言って、特別待遇になる訳ではありません。少し羽根が大きくなって比較的自由に転職できるくらいです。余談ですが、私が建築士の資格で最も恩恵を受けたと感じたのは、住宅の購入に際してのローン審査の時でした。設計事務所で働き出したばかりの安月給ではローンが組めそうになかったのです。それでも銀行の担当者と相談している中で建築士の資格を聞かれ、取得していることを伝えると、急に担当者の顔がほころび、大丈夫です、と急展開したのを記憶しています。その時、初めて建築士の社会的信用度を認識した反面、責任も大きいものだと感じました。

平成26年の二級建築士の合格者は約5,840人、一級建築士が約3,790人。合計で約9,630人が、業界の需要に対して多いのか少ないのか判断できませんが、確実に減少してきています。震災復興やオリンピックなどで人材不足が問題となっていますが、実際に戦力として働いている技術者(有資格者)の数はどのくらいになるのでしょうか。

総務省発表の平成25年12月現在での生産者年齢(15〜64歳)人口は7,900万人とされています。この内、建築資格で仕事をされている人数はどのくらいになるのか試算してみます。

建築士法では、一級・二級の各建築士の資格で仕事をしている人は、3年毎に指定講習を受けること、とされています。これから建築資格者の実働人数を推測してみます。【建築技術教育普及センター資料より】

1級指定講習受講 2級指定講習受講 1級建築試験合格 2級建築試験合格
H25  18,266  13,956    4,014   4,864
H24  19,629  14,744    4,276   6,115
H23  26,533  22,126    4,560   7,039
計   64,428  50,826  12,850 18,018   総合計 146,122

以上で分かるように、総合計の146,122人が現実に有資格者として仕事をしていると見ることができます。実際には、試験に合格して建築資格を保有している人数はこの数倍にもなると推測できます。しかし、設計業務で管理建築士あるいは所属建築士として仕事をされている人は意外と少ないことになります。先の生産者年齢人口に対しては、0.2%にも満たない数字です。つまり、500人に一人と言うことになります。これでは石を投げても当たりません。

日頃、建築資格者ばかりの世界で過ごしていると実感しませんが、500人に一人となると貴重な存在に見えます。一級建築士では約その半分ですから1,000人に一人でなおさら貴重な存在に思えます。

政府の「骨太の方針」では現行より2割ほど少ない1億人程度の安定した人口を目指すとあります。その場合、新築着工やリフォーム・リユースなどの受注ボリュームも、全体では2割ほど減る可能性があります。しかし、その受注ボリュームも人口1億人でバランスされ安定するはずです。そして、実働の有資格者数も同様に減少すると予測されますが、500人に一人と言う比率は大きく変わることはないと考えます。

建築資格が貴重であるか否かは別として、資格を取得した自信と社会的意義は認識できるはずです。また、建築を学び資格を取得する背景には、相応の希望や計画はあるはずです。資格と言う羽根を手にし、プロへの道を踏み出した500人に一人の人たちにエールを送ります。

質問 Jun 25, 2016 公開 提案 事務局 (13,170 ポイント)
編集 Jun 27, 2016 事務局

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