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【エッセイ】求人!、見て触れられる建築は難しくない!

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建築を学んで社会人となり、建築基準法を筆頭にして同法施工例、告示等の法文を目にした時は、建築って、難しいな〜と感じました。理由は、ひとつの条文を理解するためには、法文のあちこちを行ったり来たりしないと意味を理解できないからです。しかし、少し慣れてくるとその印象が消え、法文は覚える必要がないことに気づくのです。一度読んで理解すれば、必要な時にいつでもカンニングできるのです。

そして、現場を担当した時、慣れないながらも分かりやすいな〜と、ホットした記憶があります。勿論、初めて見るものばかりですから詳細は分かりませんでしたが、その姿・形から何をやっているのかが推測でき、納得できるのです。見ることの出来ない電気さえも配線をたどれば、その流れが見えるのです。それだけではありません。建物が正しく水平にあるいは垂直に建てられているかどうかは、見るだけでわかるのです。人間の目は優れており、建物の水平・垂直の異常をミリ単位で発見することができます。最近は、レーザーを利用した墨出し器があり、水平・垂直の基準線を簡単に出せますが、今でも目視検査は重要な位置を占めています。

建築を難しくないと言える理由には、建築工程にもあります。重力に逆らわず、下から順番に作られていきますから、積み木を積み上げるのに似ています。ある日突然、屋根だけが出来上がることはありません。また、複雑なディテールも、何故そうしているのかは、見れば理解できます。建物は、見たり触ったり、人間の五感で感じ理解できる魅力的な仕事なのです。

こうして、一生懸命に建築の魅力を訴えるのですが、国交省資料を元にした建設業振興基金の人材確保・育成資料を見ると、悲惨な状況に愕然としてしまいます。

・建築学科生徒数推移(H4→H24、単位:万人)
 大学建築学科生徒数:   3.1→0.9  (7割減)
 高校建築学科生徒数:128.3→64.4(5割減)

・建築の学校を卒業後、建設業界に就業している比率(H25年時で30歳未満、単位:万人)
 77.6(大学卒業後社会人)→56.9(就職)−19.9(3年以内離職)=37.0(H25時の就業者数):48%
 35.0(高校卒業後社会人)→18.6(就職)−  7.5(3年以内離職)=11.1(H25時の就業者数):32%
 大学と高校を合計すると、建築を学んで卒業した人数112.6万人に対して、3年後も建設業界で仕事をしている人は48.1万人で42.7%となる。

・建設業就業者数推移(H7→H22、30歳未満、単位:万人)
 就業者数推移:140.7→48.4(65.6%減)
 建設業就業者に対する30未満の割合:10.8%
 全産業就業者に対する30未満の割合:16.6%(平均)

人口減による建築学科の生徒数や建設業就業者の減少は致し方ありません。しかし、この減り方は異常です。
もし、建築を学んだ人が全て建設業に従事しているなら、あるいは早期離職者がなくなれば、大幅に若い人の占める割合が増え、業界の若返りも可能になるのに、と考えさせられます。

国交省は厚生労働省と連携して、また建設業団体や企業でも人材の確保と育成を促進しています。その効果があったのか、直近の統計では建設業就業者に占める30歳未満の比率がH26から上向きになっており、総就業者数もH22年を底にして増えてきています。震災復興やオリンピックをきっかけに、若い世代が増え、業界の若返りが進むことを願うばかりです。建築は、衣食住の一翼を担っていおり、たとえ人口が減って新築着工戸数が減っても、リフォーム市場は増え、これらがどこかでバランスされます。つまり、建築業務がなくなることはないのです。

質問 Jun 25, 2016 公開 提案 事務局 (7,800 ポイント)
編集 Jun 27, 2016 事務局

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