建築士ドットコムQ&Aサイトにようこそ。ここではコミュニティメンバーに質問したり、回答を得ることができます。

【エッセイ】建築CADの歩みと近未来に望むもの

+2 評価

国内で住宅設計に建築CADが現れたのは1980代前半で、ビル系においてもほぼ同じ頃だったと思います。
Cはコンピュータ(computer)の頭文字ですが、Aは援助(aided)、とする場合と補助(assisted)、とする場合があります。また、Dはデザイン(design)、や立案(drafting)、もしくは作図(drawing)などとあり、使用するCADの性格により使い分けているようです。いずれにしても、広義的にはコンピューターを利用して設計することに違いはありません。

CADの開発にはコンピューターの技術革新が大きく影響しています。CADの出始めの頃のコンピューターは、OS用のドライブ、ソフト読み込み用のドライブ、そしてデータ書き込み用のドライブと3ドライブを装備していました。作画される壁は二重線でしたが仕上げ厚のない全くシンプルなもので、手書きの図面とは比べようもないほど見劣りのするものでした。現在の最新のCADを見ると隔世の感があります。それでも当時は、コンピュータ本体、モニター、デジタイザー、プロッター、そしてソフトのセットでは軽く1000万円を超えるものでした。また、ソフト会社も住宅系では2・3社ほどでした。その後、若干増えましたが、当時のCADで現在も残っているのは1社のみです。1990年代に入って、フリーソフトのJW CADが開発されてからは小規模の設計事務所などでもCADの採用が始まり全国的に普及していきました。

CADソフトは大きく2種類に分けられます。一つは作画だけに特化したもの。他方は、入力データに部材情報などを持たせ、作画は当然ですが、積算、構造計算、部材加工、さらには物件管理 までを行えるものです。もちろん、後者の方が格段に高額なものとなります。
CADが抱えている問題としては、各企業のソフト間でデータの共有化が不十分であること、あるいは共有化ができないことがあります。どのようなCADで入力したデータでも先に挙げた作画から物件管理までの各ソフトへデータ変換ができれば、建築業務は合理的に一元管理ができます。このデータの一元管理であれば、以前に起きた構造計算の不正運用は防止することが出きたはずです。

作画データの共有化では、DXFファイル形式のものがあります。しかし、これも十分ではなく元データによる作画と、DXFに変換後のデータで作画したものでは、その表現が異なる場合が多々あります。

作画から物件管理までの一元管理データを共有化する試みに、BIM(Building Information Modeling)があります。これは国際的な運動で、各ソフトデータを中間フォーマットに変換しデータを共有化するものです。日本では、2010年から国交省の指導で進められていますが、目立った成果が出ているとは言えません。

ある工法に特化して開発やカスタマイズされたCADソフトには、作画から物件管理までを一元管理できるものがあります。しかし、特定の企業専用で他のCADソフトとのデータの共有化が出きません。また、BIMに基いて開発された一元管理CADソフトも国内には1社ありますが、非常に高額なものとなっており、一般に普及するには至っていません。

日本国内では、現在でも先に述べたJW CADの使用率が高いと思われますが、一時期ほどではなくなっていると推測しています。これは世界的に汎用性の高い、つまり使用されている件数が多い海外製のCADソフトに優位性があるからです。工業製品を筆頭に、国内の建設・土木企業が海外に進出している現状では、優位性のあるCADを使用せざる得ず、グローバル化はCADにも影響しているのです。しかしそれでも、作画を中心にしたソフトなのです。

BIMによる中間フォーマットを利用したCADデータの共有化は世界的な動きです。従って、やがてはその成果が小規模の設計事務所にも恩恵を与えると思いますが、まだまだ先のことです。しかし、BIMの試みが実を結び普及が進んだ時、建築業界の合理性は一気に加速すると考えています。

質問 Jun 11, 2016 公開 提案 事務局 (7,800 ポイント)

ログインまたはユーザー登録してから回答してください。

...