【コラム】マンションの大規模修繕工事から見るマンションの寿命

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マンションの大規模修繕工事サイクルは、早くて5年、一般的には10年前後でしょう。大規模修繕工事の目的は、老朽化した建物の修繕・改修が主なものですが、それでマンションの寿命を伸ばすことはできるのでしょうか。物理的には、適正なサイクルで正しく修繕・改修を行えば、50〜60年と言われるコンクリートの寿命まで持つかもしれません。しかし、ここでは現実的な問題としてマンションの寿命を考えてみます。また、地震などで被害を受けた場合の修繕・改修はここでは除きます。

マンションの大規模修繕工事には、躯体補修、外壁等の塗装、防水のメンテナンス、給排水管の交換、電気幹線の交換などがあり、稀にサッシの取り替えなどもあります。躯体の補修は、躯体の表面剥離やヘヤークラックなどに対するもので、基本的な耐用年数維持の措置です。外壁等の塗装、これは大規模修繕工事で一番多い工事で、剥離した塗装やシーリング材などの劣化に対して修繕を行うものです。通常、5〜10年のサイクルで行われます。多くはこれに合わせて、屋根・バルコニーなどの防水の補修・修繕が行われます。

給排水管の耐用年数は数十年で、多くは漏水等の不具合が起きた場合に都度修繕されますから、大規模修繕工事で行われることは稀です。電気幹線は給排水管以上の耐用年数ですが、その耐久性が不明瞭なこととコストが高いことから電気幹線の交換工事はあまり耳にしません。稀に行われるサッシの交換は、老朽化した場合や断熱サッシに交換する場合で、既存のサッシ枠を利用してカバー工法などで行われるものです。なお、既存サッシを全て撤去して新設することはまずありません。

マンションには共用、専用、そして専有の部分があります。共用部分は、居住者の誰もが利用できる部分、専用部分はバルコニーなどの使用者が限定されている部分、そして専有部分は内部空間の居住者が所有権を有している部分です。これらの中で、大規模修繕工事が行われる範囲は一般的に、共用部分と専用部分です。
従って、それらの部分は定期的な修繕・改修によって機能を維持することはできます。しかし、室内の専有部分は居住者の任意です。

マンションが10年、20年と経過して行くと、室内の老朽化や劣化は居住者によるメンテナンスやリフォームの有無で大きく変わります。劣化に任せた結果、やがては修繕の費用対効果で放棄されることもあるでしょう。また、大規模修繕工事費用が修繕積立金を上回り、居住者の負担増に賛同を得られず大規模修繕が実施されない事も考えられます。その場合、居住者個別のメンテナンスやリフォームは意味を持たないことになります。そして、この時が実質的にマンションの寿命が尽きる時です。

戸建て住宅なら所有者の意思で、解体・新築などの判断ができます。しかしマンションの場合は、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」で、売却には4/5、建替えには3/4の居住者の賛成が必要とされています。一方、旧耐震基準で建てられ耐震性不足から建替えが必要な106万戸に対し、建替えが行われたのは1.4万戸と建替えの難しさを表しています。【参考資料:国土交通省、H26年2月28日、報道より】

マンションに寿命がきた時、どうするか。お互いに利害が絡むため、目の前に問題が現れない限り、真剣には考えられのが実情ででしょう。都心や市街地にあるマンションの場合は、再開発や商業的な付加価値で建替えが可能かもしれません。しかし、郊外型のマンションではそれらは望めません。法律が整備されても、事務的に処理できる問題ではないのです。マンションをゴーストタウン化させないために、何ができるか。一個人ではなく、地域や行政と一丸となって取り組まなければならない問題です。

 

質問 Jun 3, 2016 公開 その他 事務局 (14,530 ポイント)
recategorized Dec 21, 2017 事務局

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